ステルス

2017/ 07/ 12
                 
何でも左手でやってしまう幼少期の私を、教育者だった祖母は徹底的に右利きに矯正した。私なりに全てを明け渡すことはしなかったお陰で両利きになったが、右手を利き手並みに操ることができる大人になり、お昼時の混雑した食堂では重宝している。やはり右利きの人がマジョリティ、左利きはマイノリティなのが今の日本社会。一人だけ左手で箸やスプーンを使うと、一番左端のカウンター席でもない限り迷惑な存在になってしまうのだ。脇を締め、窮屈な肩身の狭いスタイルで食事をしている左利きの人を見ると同情するが、やはり個性を主張するより、柔軟に多数に溶け込むステルス技術を養うべきだろう。これはあらゆる国で基本的なお行儀として通用することを実感している。即座にその場所の常識を見極め、同じ振る舞いをする。目立つことなく、強く関心を持たれないことは、危険な目にも遭いにくいということなのだ。他人の気に障らない自然な存在の仕方は、人が最初にマスターするべき防衛手段だと思う。
                 

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