生と死の狭間で

2017/ 07/ 14
                 
倒産した工事業者の資材置き場を片付けに行った時の話しだが、古いコンクリート製の土管をクレーンで吊り上げる準備を始めると、小学三年生くらいの少女が忽然と土管の上に現れた。歩いてきた姿が一切視界に入っていなかったので、すぐにこの世の存在では無いことに気付いたが、ニコニコしながら私を見つめているその顔は、屈託の無い可愛らしいものだった。そこに何年いるのかわからなかったが、たぶん随分前に死んでいる。遊んでいて、崩れ落ちた土管の下敷きになったのだろう。迎えは来ているはずだが、彼女には死の自覚が無いので見えも聞こえもしないのかもしれない。しかし私の姿は見えているようだったので、その場に屈み、両手を広げて「おいで!」と言ってみた。少し躊躇した後、走って私の胸に飛び込んできたので、精一杯の愛情を込めて抱きしめた。数分後には、ほんわかとした暖かな光を放ち、彼女は消えた。ずっと独りで、寂しかっただろうな。遠くで少女の手を引く老婆の姿がはっきりと見えた。見送る私に、老婆は何度もお辞儀を繰り返していた。
                 

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ブログを拝見しました
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Re:ブログを拝見しました
ありがとうございます。